エネルギー物質科学研究センター

筑波大学 お問合せ・アクセス English

概要

センター長

センター長 西堀英治

センター長
西堀 英治

設置の必要性と期待される効果

(1)設置の必要性

 持続可能な社会の構築に向け、高効率なエネルギー変換や物質変換およびエネルギー貯蔵、さらには再生可能エネルギーの高効率利用を可能にする革新的物質・素材・材料の開発に対する社会からの要請が近年特に高まっています。したがって、環境エネルギー材料の国際拠点を設立し、多くの近隣の研究機関が有機的に共同研究の推進に資することは、オールジャパン連携およびグローバル連携の推進にもつながり、我が国の研究力を強化するために重要となります。また真に革新的な材料創出には、電子・原子・分子レベルでの構造制御と機能に関する学理と応用研究を繋ぐ仕組みと体制が必要と考えられますが、そのような研究組織はほとんどないのが実情であり、TIMS改組による本センターの設立が強く望まれていました。

(2)期待される効果

 本センターは研究のピークを形成する三つの研究部門を主体とし、これとダイバーシティーを重視した異分野融合による革新的材料の創出を可能とする萌芽研究グループから構成されています。さらに理論的設計・化学合成による新物質創製・最先端精密計測を横串としたグローバルな連携も可能となる体制を取るため、これまでにない革新的材料の実用化に向けた取り組みを効率よく推進することができると期待されます。さらに本センターは、つくば地区の連携を円滑に行うことのできる運営体制も備えていますので、萌芽的基礎研究を出口へと繋げ、大学の研究成果の社会還元を強力に推進して、本学のプレゼンスの向上に貢献できると期待されます。さらに若手研究者の自由な発想が基礎から応用に反映されるよう十分な研究環境を提供することで、我が国における次世代の材料科学分野を担う世界的な視点に立った研究者の育成に資することができます。

組織構成

 本センターは、つくばスマートシティ構想を支えるスマートエネルギーソースの基盤研究を推進する。筑波大で培ってきた独創性の高い物質科学を3つの柱となるデバイス部門とし、それらを支え、新分野の創成への人材・研究成果の循環を目指す3つの基盤的部門を設置し、スマートエネルギー分野における連携拠点の核となることを目指します。

 デバイス部門は「エネルギーハーベスト部門」、「光エネルギー変換部門」、「電気エネルギー制御部門」からなります。デバイス3部門は、各部門が掲げるデバイス開発に向けた学理開拓と物質の高性能化を進めるとともに国プロの推進や民間企業との共同研究を通じて、創出された技術の社会実装を目指します。

 基盤部門は、「マテリアル分子設計部門」、「サブナノ領域評価部門」、「基礎融合グループ部門」からなります。基盤部門は、各部門の有する独自の先端技術を生かしてデバイス部門の研究をサポートするとともに、持てる技術を高度化し、それを用いたセンター内での共同研究により新たな研究分野の創出を目指します。

「エネルギーハーベスト部門」

 エネルギーハーベスト部門は、SDGsの実現やIoT社会の構築に資する革新的なエネルギーハーベスト物質・技術およびその関連技術を確立します。エネルギーハーベストとは、熱、振動・回転、光、生体関連物質、等といった身近なエネルギー源から使いやすい電気エネルギーを得ることです。エネルギーハーベスト部門では、エネルギーハーベストの学理開拓と高性能化、関連技術の提案と実証、関連物質の開拓・開発を推進し、新しいエネルギーハーベストの提案を目標とします。

「光エネルギー変換部門」

 光エネルギー変換部門は、モバイル太陽電池の材料や成膜法の開発や実用太陽電池材料の研究および人工光合成の機構解明を目指した物質開拓の研究を行います。これらの研究を通じて、Wearable/Flexibleな光エネルギー電池デバイスの開発を目標とします。

「電気エネルギー制御部門」

 電気エネルギー制御部門は、SiCパワーデバイスの材料研究とデバイス研究、さらに回路設計研究が一体となり,競争力を高く維持しつつ実用に直結した研究を実施します。超Wide bandgapデバイス(Ga2O3, AlN)のための材料研究、およびデバイス製作,及び回路設計の実施による未来のデバイス技術の先取を行います。AIST,NIMSとの密接な連携のもと,パワーデバイスの研究を学理に基づいた材料開発からデバイスの製作と回路設計を実施します。これらの研究により、パワーデバイスの材料から回路までの開発をカバーした研究を行います。

「マテリアル分子設計部門」

 マテリアル分子設計部門は、触媒反応、有機化学、有機元素化学など化学の学理を最大限に活用し、環境エネルギー材料を創製する。社会のニーズの高い環境エネルギー材料開発において企業が実施できないような基礎研究に注力し学術的な基盤を構築します。材料機能や作用メカニズムを、原子レベル・電子レベルで研究することで、社会からの要望に、適切・迅速に応える材料設計と物質創製を可能にすることを目指します。

「サブナノ領域評価部門」

 サブナノ領域評価部門は、デバイスの原子、電子スケールの構造を評価する先端的な計測研究を推進します。先端放射光、陽電子消滅、デバイスの電子スピン共鳴、時間分解電子線回折の筑波大学が強みを有する特徴的な計測法の先鋭化を進めるとともに、それら手法のエネルギーデバイスへの応用研究を進めます。

「基礎融合グループ部門」

 基礎融合グループ部門は、自己組織化による機能材料設計や超分子化学など独自の基礎研究を発展させます。加えて触媒反応の表面科学による理解など社会ニーズの高い基礎研究も推進する。他の部門の研究者との有機的な連携により、新しい分野の創成を目指します。

PAGE TOP